12歳年下の彼に溺愛される話
第2章 割の悪いアルバイト
生田さんの事を…
下の名前で…呼ばないと…ダメって事ッ。
ぎゅううと思わず、封筒から
自分の手を離すのを巴が躊躇っていると。
『巴さん…、
いざお金を、支払うってなって
この話は無しとか…、って。
今更、言わないで下さいよ?
遠慮しなくても…大丈夫ですから、ね?』
そう…生田…ではなく、
私が封筒から手を離して
今日のお礼は生田の手に渡ったのだから。
港斗……がそう…こちらに言って来て。
これじゃあまるで…私が…、
そのお金をケチったみたいなのだけども。
「違うんです…そのお金は、
もう、…要らないお金なので。
私が躊躇ったのは…、
お金が勿体ないとかじゃなくて…」
『お金が要らなくなるってありますか?
お金なんて、幾らあっても困りませんよ。
あ、ここです、お昼はここでどうですか?』
そう言って連れて来てくれたのは
駅前のビルの中にある。
天ぷらBALだった。
小さな店はカウンター席しか無くて。
そのカウンター席も10席ほどの
こじんまりとしたお店だった。
店内の雰囲気は
駅前のビルの中にありながら。
高級寿司屋の様な佇まいで。
天ぷらのお店…と言うよりは、
BALと銘打っているだけあって。
リーズナブルな価格で美味しい
職人が揚げるてんぷらを、
美味しいお酒と楽しめるお店の様だった。
ランチは目の前でライブで
職人さんが天ぷらを揚げてくれるのに
ちょっとした小鉢とお味噌汁と白ご飯で
1500円とお安いお値段で。
美味しいてんぷらを…、頂いて。
また…このお店に…、
自分も来たいなと思ってしまった。