12歳年下の彼に溺愛される話
第2章 割の悪いアルバイト
港斗さんが予約してくれていたのは、
このクルーズ船の中にある
フレンチのレストランで。
窓際のテーブルに案内されて、
椅子を引いて貰って、巴が座ると。
丁度…船内の窓からは、
海に沈んでいく夕日が
自分の座って居る場所から見えていた。
窓際じゃないテーブルもあるから、
偶々このテーブルだったのか…。
もしかしたら、この場所に
テーブルをチャージするのに
別料金が発生してるんじゃないかとか。
そんな事を考えていると。
飲み物を頼んでいないのに、
ハーフボトルの
シャンパンがテーブルに運ばれて来て。
いや…これ…絶対に…コースじゃないし。
前もって頼んでる…
オプションサービスだって。
背の高いシャンパングラスに、
注がれる薄い…金色の液体に
気泡が上ってくのを眺めていて。
このシャンパンは…地元のワイナリーの
オリジナルのシャンパンで、
このクルーズ船のオリジナルデザインの
ラベルのボトルの物らしく。
さっきのお土産コーナーでも
購入する事が出来るものなのだそうで。
あ、良かった…、凄い高い物だったら
どうしようって思ってしまったけど。
『とりあえず、乾杯でもしましょうか?』
「あ、ええ、そうですね…」
そう言って、巴が自分のグラスを持つと
港斗の手にあるグラスとチン…縁を合わせて。
鳴らして、乾杯をした。
「こんな…船の上から、
見る…サンセットも素敵ですね」
『そうですね、
赤色に染まる海を眺めながら、
シャンパンを頂くのも…悪くないですし。
それに……
僕も巴さんも…初めてですし?』