12歳年下の彼に溺愛される話
第1章 『私』と『彼』との馴れ初めの話
巴がそのガラスのコップを…
そっと自分の手に取ると、
彼と一緒に行った、沖縄の青い空と
澄んだ青い海の色が…
自分の瞼の裏に浮かんで来る。
こんな日が…、来るなんて…。
信じられなかった…。
「どうして…?…どうして…なの?」
あの時…、自分の仕事が…
落ち着いたら…結婚しようねって
そう言ってくれた言葉も
…全部…嘘だったの?
自分の…左手の薬指には…、
彼にクリスマスに貰った
指輪がはまって居て。
いつか…その時が来たら…、
ちゃんとしたのを贈るからって…
今は…こんなのだけど、御免って笑ってた。
あの時の…貴方の笑顔が懐かしい…。
寝室のクローゼットから、
大きめのキャリーバックを取り出した。
このキャリーバックも、
沖縄に旅行に行く時に
また…新婚旅行で
海外旅行とかも行くかもだしさ、
大きめのを買ったんだよって…。
彼が…私に買ってくれた物だ…。
彼の家に週末の金曜、土曜は泊まって。
日曜日の夜に帰る様な…、そんな
半同棲生活をしていたから。
彼の部屋には…、
私の物が…割とあって。
大きめのキャリーバックに、
その8年分の全てが…
収まりきるはずは無くて。
持ちきれない物は処分して下さいと。
走り書きのメモを残すと。
巴が自分の左手の薬指にはまっている、
彼からのプレゼントの指輪を
自分の指から外して。
その走り書きのメモの隣の添えた。