12歳年下の彼に溺愛される話
第1章 『私』と『彼』との馴れ初めの話
まるでて夢でも見てる様で、
現実味が全然なくて
これが夢なら…夢なら、
どんなに…良かっただろう…って。
そんな事を巴は考えていた。
今度…自分が…、
この雄介さんに贈られた
指輪を外す時は。
彼から正式な
結婚指輪を貰う時だって。
ずっと…そう…思ってたのに…ッ。
大きな…どこかへ…
夜逃げでもする様な…
キャリーバックを持って…、巴は
雄介のアパートを後にした。
雄介のアパートの駐車場の所で、
雄介の車が戻って来るのが見えて。
車の助手席には…私よりも遥かに若い。
丁度…24位の歳の女が乗って居て。
その女の左手の薬指には…、
銀色に光る指輪が
はめられているのが見えて。
ちらっと見ただけなのに、
その指輪が…自分に贈られた物より
高価な物だって…、分かってしまった。
その女が自分のお腹を…、
大事そうにして抱えながら
両手をそえて擦って居て。
運転席に座って居る雄介に声を掛けると。
こっちが…見ている事に…、
多分彼は…気がついて居た
…みたいなのに。
車の中で…その女と、
熱いキスを交わして居て。
もう…これを見れば、説明なんて
しなくても分るだろう?と言いたげな
冷ややかな視線を…こちらに向けて来る。
そして…、フッと…笑った。
私は…、この場から…少しでも早く…、
1分でも1秒でも早く…離れたいと思って。
足早になりながら、その場を
逃げる様にして…後にした。
そんな事…があったのが…、
今年の…1月の事で。
その後…、私は…と言うと…。
すっかり…腑抜けて
魂が抜けたみたいになって…。
休みの日も化粧もしないで、
パジャマで過ごす様な生活をして居たら。