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12歳年下の彼に溺愛される話

第3章 12歳年下の彼


『また…、例の雄介さん…の事を
思い出して、しんみりしてたんですか?
今、巴さんと居るのは、誰ですか?
雄介さんじゃなくて、僕でしょ?』

確かに港斗さんの言う通りなのだが、
流石に8年も付き合って居たのだから。

自分の…中の男性と言うので、
港斗さんと比較する対象が
悲しいかな…私には雄介さんと…。
その前に…ちょっとだけ
お付き合いをしてた人しか無くて。

『今日はずっと…巴さん…、
雄介さんの事ばっかりだし…。
僕だって…、嫉妬、しちゃいますよ?』

ハッキリ言ってしまえば…、
彼が雄介さんに嫉妬する要素は何もない。
私はその雄介さんに、振られた女で。
雄介さんに…蔑ろに扱われていた女だから。

もしかしたら…、私の事…
都合のいい金の掛からない…
家政婦だと…思ってたんじゃないかなって。

「いえ…その……港斗さんが…、
雄介さんに…嫉妬なんて…しなくても…」

『ああ、僕の方が…何倍も巴さんの事、
好きだって事ですか?』

少なくても…私はそうだったけど。
彼は…雄介さんは…どうだったんだろう。

港斗さんが…私の手に手を重ねて来て。
そうされて、初めて…、
自分の手が…
震えていたんだって気がついた。

『このまま…今の巴さんを、
一人で家に帰らせる…なんて…事は、
僕には、出来ませんよ?それでも…
平日は…ダメ…ですか?巴さん。
この後…、僕の家…来ます…よね…?』

そう…手を握られたままで
港斗がこちらに問いかけて来て。
こちらの意思を…尊重して
確認して来てくれる…から…。


そんな風に…、

あの人は……してくれなかった。



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