12歳年下の彼に溺愛される話
第4章 巴の引っ越し
その後は、港斗君が
キッチンに伸ばしていた段ボールの道を
今度は、洗面所に向かって伸ばして。
洗濯機を運んで貰って設置をして貰った。
無事に家電を設置して貰って。
何とか…この部屋で
生活が…出来そうな感じがする様には。
形は一応は整った感じだ。
冷蔵庫は明日まで使えないし、
電子レンジとガスコンロは使えるので。
調理には…不自由はない感じではあるけど。
港斗さんが余り遅い時間でも、
ご迷惑になるかも知れないし、
17時頃にご挨拶に行きましょうかと。
『後、これ…を、
今日の夕飯にしようと思って
さっき、弟を家に送った帰りに
買って来たんですよ』
そう言って…ビニール袋を
こちらに差し出して来て。
そのビニールに中には。
近くのお蕎麦屋さんの
お持ち帰りのお蕎麦が入って居た。
「港斗君、これ…って、
もしかして、引っ越し蕎麦って事?」
『引っ越し蕎麦は食べる物じゃなくて、
元々は配る物らしいですけどね』
良く言われる引っ越し蕎麦と言うのは、
江戸時代辺りの風習らしくて。
赤飯や餅を配って居たらしいけど
それは高価だから、もっと安くて
良いものがないかなってなった時に。
蕎麦と側を絡めて、蕎麦を贈る様に
なったのがそもそもの始まりで。
元は茹でた蕎麦を渡していた
みたいだったんだけど、
それも時代が進むと貰った方が、
好きな時に美味しい
出来立てのお蕎麦が食べられる様に。
蕎麦切手と言う、今で言う
クーポンが配られる様に
なったのだそうだ。
丁度…お夕飯の前の時間だったから。
どのお部屋の人もご在宅で、
3軒のお家にはご挨拶が出来て。
1軒のお家は、新婚さんで
奥さんが妊娠しているのだそうで。
もう2軒のお家は、
小さなお子さんが居るご家庭で。
子供の声で迷惑するかも知れませんがと、
逆に申し訳なさそうにされたのだが。
全然…子供さんの声…聞こえなかったし
下で走り回ってる感じも無かったから。
不動産屋さんがこの物件は
防音しっかりしてるって言って
居たのに納得してしまったのだが。