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12歳年下の彼に溺愛される話

第4章 巴の引っ越し


ちゅ…と…
一瞬の触れるだけのキスを、
誰も周囲に居ないとは言え
道の真ん中でされてしまって。
恥ずかしくなってしまったのだが…。

『今のキスだけじゃ、
巴さんは物足りなかったですか?
ちゃんとした、キスをするのは…
お家に帰ってからですよね?巴さん』

「きっキスよりも、
ご…ご飯が…先です…ッ…」

『ええっ~、僕と、
キスしたくないんですか?巴さん…』

「キスしちゃったら、
港斗君がえっちな事を
したくなっちゃうからダメです」

『キスだけですからっ』

「そのキスが…ダメなんです…」

『そう言って、ダメって言ってる
巴さんの顔の方が、ダメですけどね。
そんな、可愛い困った顔して。
ダメって言われても、
僕が喜ぶだけですから』

「き…キスは、
…ご飯が済んでから……ッ」

『ご飯が済んでからですね?
じゃあ、それまでいい子にしてますよ』

いい子にしてると…言ったはずの彼に、
新居のキッチンでお蕎麦を茹でようと
お鍋に入れたお湯が沸騰するのを
待っている今も…後ろから
ぴったりと寄り添って居て。

巴の項の唇を寄せて来て、すぅうっと
その辺りの匂いを嗅がれている
気配を感じる。それに…その辺りを
彼の吐く息がくすぐって来て
どうにも…くすぐったくて身じろいだ。

「ちょ…、あの…ッ。
港斗君、お料理の…邪魔です…」

『だって…巴さんが…、忙しそうで
僕に構ってくれないから…寂しくて。
それに、僕は…ちゃんといい子に
巴さんとの約束…守ってますよ?』

普通にするよりも…
作るのに時間が掛かったのは
彼に後ろから身体を寄せられて
動きにくかった所為ではあるんだけど。

あんな風に甘えて来られたら、
強くダメとも言えなくて…ついつい
彼を身体に引っ付けたままで。

キッチンからリビングへ移動した
今も、彼はピッタリとこっちに
身体を寄せたままで居る。

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