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12歳年下の彼に溺愛される話

第4章 巴の引っ越し


引っ越し祝いの品を入れていた
自分のエコバックに
さっきのスーパーで買った物を入れて。
巴が持っていたそのエコバックを、
スッと…何も言わずに
港斗が自分の手に持って。

開いた私の手を、
ぎゅっと握って繋いで来る。

そのまま、アパートまでの道のりを
手を繋いで歩いていると。

『何か…良いですよね?こう言うの…』

「手…繋いで…
ご近所歩いてるだけだよ?」

そう、実際に私と港斗君とは
近所のスーパーからアパートに
向かって歩いているだけなのだから。
特別何か…をしてる訳でも何でも無いのに。

ぎゅ…と繋いでいた手を、
スルッと指を絡めて繋いで
恋人繋ぎに繋ぎ変えられてしまった。

『でも、こうして歩いてると。
恋人同士らしい感じがするじゃないですか』

恋人らしい事…、か…。

私が…雄介さんと長く付き合う内に

どんどんとしなくなったり

して貰えなくなってしまった様な。

そんな”恋人同士らしい事”を、

こんな風にして…彼は…思い出させてくれる。

誰かを好きになるって、

誰かに好きになって貰うって。

こんな事…だったんだな…

ずっと彼と交際してたはずなのに…

いつの間にか…忘れてしまった事を…

港斗君が…こんな風にして

私に思い出させてくれる。

『お腹…空いちゃいましたね…。
あそこのお蕎麦…今日は
テイクアウトしましたけど。
また、一緒に食べに行きましょうよ…巴さん』

「あの…お昼の…町寿司にも…
行っちゃったりしませんか?」

そんな話をしながら街灯のある場所の下を
通りかかった時に、街灯の明かりで出来た。
私と、港斗さんの影も手を繋いでいて。

ぎゅっと…繋いでいた手を
巴が握り返した。

『あの、……巴さん…?』

私の行動が意外だったのか、
一瞬彼が驚いた表情をしたのだが。

その後…その目が細くなって
笑顔に変わって行く。

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