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ビッケとビッチ

第3章 11月23日木曜日勤労感謝の日の夜…

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「あ、僕…やばいっすね」
 と、和哉くんは自分自身を見て、そう呟いてくる。

 今夜も相変わらずのパーカートレーナーにジーンズ、そしてスケボーブランドのスタジャンにナイキのスニーカーといういつものスタイルであった…

「悠里さんがこんなに大人っぽくて素敵なのに…」
 そして、そうも言ってくれる。

 確かに和哉くんとはファッションスタイルは異なり違うのだが…
 和哉くんのスタイルは、彼なりに似合っているのだ。


「あら、ありがとう」
 そしてわたしはそんな彼の褒め言葉に内心嬉しくて、心が高ぶってしまう。

 だが、このギャップ差が…

 わたしと和哉くんの現実なのだ。

 これが大人の…

 9歳差のリアルなんだ…

 わたしは改めてそう想い、そして浮つく心を戒める。

 そうよ、これがわたしと和哉くんとのリアルな差なのよ…

 これが…

 この差が…

 この先もっと広がっていくんだから…


「行きましょうよ」

 そしてそんな想いを心に秘めて、彼を促し…
 わたし達は車で30分の距離のショッピングモールの映画舘へと向かう。

 レイトショーの時間は20時20分からであった…
 まずは二人でファミレスで食事をする。

「え、ファミレスでいいんすか?」

「うん、ファミレスでいいんす」
 そう戯けて応える。

 だってあくまでも映画鑑賞がメインなのだから…

「わたしファミレス大好きだし、それにドリンクバーあるし…」

 そう、今夜は軽いノリが良いんだ…

 それに気取ったレストランとか行ってしまったら…
 逆に、和哉くんとわたしのギャップ差が目立ってしまうから。

 軽いノリでいい…

 そして食事を終え、映画舘に入り、ポップコーンセットを買って…
 映画鑑賞をする。

 映画は凄く楽しかった…
 



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