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ビッケとビッチ

第3章 11月23日木曜日勤労感謝の日の夜…

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 映画は凄く楽しかった…

「いやぁ、面白かったすねぇ」
 わたし達は映画鑑賞を終え、カフェに来た。

「うん、映画はね面白かった…けど…」
 
「え、あ、す、すいません…す」

「そう、ホントよ、あんな悪さしてくるんだからぁ…」

「あ、すいません、つい、隣に悠里さんが居ると思ったら…」

「もう、ホントよ、あの場面だけ集中できなかったんだからねぇ」

「ごめんなさい…」

 和哉くんの悪さとは…

 映画が始まって30分した頃、彼の手が不意に太腿に触れてきたのである。

 太腿、脚はわたしの重要な性感帯のひとつでもあるから…
 わたしは敏感に反応してしまったのであった。

 ただ、唯一の救いは、今夜はスカートじゃなかった事…
 しかしわたしは敏感であったが故に、そんな彼の手を払おうと太腿の上で彼の手との攻防戦となり、結果負けてしまい、太腿の上で手を握り合ってしまったのだ。

 これが、普通のラブラブな二人だったら別に、何の問題は無いのだが…

 要は、わたしの自制しようとする心が問題であり、あくまでも彼とは、別の意味での関係を保ち、いや、持ちたいという想いのせいなのであるのだが…

 そしてわたしはその攻防戦の途中に、どうでもよい事だ…
 と、ふと想い、抵抗を止めたのである。

 そう、どうでもよい事なんだ…

 ただ、わたしの敏感な太腿の上という場所が悪かったのだ…

 そして結果的にはそのまま最後まで手を握り合い、映画を観終えたのであった。

「ごめんなさい…」
 だから、そんな謝る程の事では無いのであるのだが…
 ある意味、わたしには悪さだったのである。

「うん、大丈夫よ、だから謝らないで」
  
 逆に、そんな事に反応したいい歳したわたしが悪いのだ…




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