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ビッケとビッチ

第3章 11月23日木曜日勤労感謝の日の夜…

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 ドクッ、ドクッ、ドクッ…
 瞬く間に口いっぱいに広がってくる。

 ヤバっ、こぼれそうだ…

「うっ、むむ…」

 ゴクン…
 危うく口元から溢れさせてしまいそうになり、慌てて飲み込む。

「あっ、ゆ、悠里さん、ま、まさかっ」
 慌てて車内のティッシュを掴み、そう言ってきた。

「ふうぅ、ヤバかったぁ」
 だがわたしはもう飲み込んでしまった。

「あ、そ、そんなぁ、す、すいません…」

「うぅん、いいのよ、大丈夫よ」

 大好きなキミのだから…
 その言葉も一緒に飲み込んでしまう。

 とても言葉には出せない…


 すると…
「ゆ、悠里さん…」
 感動に潤んだ目を向けてくる。

 あっ、この目だ、あの時のビッケの目だ…

 昔、ビッケもよくわたしの膝の上で、お腹を向けて、撫で撫でされ、こうした潤んだ目を向けてきた…
 思わずキュンキュンしてしまう。

「ゆ、悠里さん」
 そして潤んだ目の和哉くんはわたしにキスをしてくる。

「あん、ビッ、あ、か、和哉くん、まだ、口の中にキミのが…」

 残っている…

「そんなぁ、平気っすよぉ、それよりゆ、悠里さん、やっぱ、大好き、大好きっすぅ…」
 そしてキスをしてくる。

 もちろんわたしも大好きだ…

 大好きで…

 そして可愛いくて…

 堪らない…

「好きっす、大好きっす…」

「あん、もう、わかったからぁ…」

 もうキュンキュンし過ぎちゃうから…

「だって、でもぉ…」

「うん、わかったから、ね、でも…」

「あ、はい、でも?」

「これで、少しは落ち着いたでしょう?」
 わたしは問うた。

「あ、は、はい、嬉しいっす、感動したんす」

「もぉ、大袈裟なんだからぁ…」

「いや、本当っすよ、それに、あんなにたくさん出たなんてびっくりっす」

「え?」

「あ、じ、実は、あれから…」
 毎晩、わたしを想って、ソロ活動をしていると言ってきた。

「あららぁ…」

 やっぱり若いんだなぁ…

「あ、そうだ」

「え?」

「あと三日か四日で生理が終わるからさぁ…」

「あ、はい?」

「それまで、ソロ活動は禁止ね」

「えっ」

「お預け、ガマンね、ちゃんと解禁にらなったら調べるからね」

 わたしはビッケにお預けを命じた…

 あと、三日か四日後…

 それも楽しみだ…





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