テキストサイズ

素敵な飼い主様

第7章 戻れない




今なら、きっと大丈夫。



息ができなくなるほど、まだ彼に溺れきっていない。



1週間後に、ここを出よう。




また戻ればいいのだ。
あの、汚れた世界に。



目を瞑っていると、




「紫苑様?!」



いつしか聞いたことがある声が、耳に届いた。



ホッとする、テノールの声。




「川城さん・・・。お久しぶり、です」



そう、初めて神矢と会った日、車を運転していた人だった。




穏やかな表情をしていた川城さんは、あたしの顔を見て目をまん丸にしている。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ