素敵な飼い主様
第7章 戻れない
あたしは、謝りたかった。
たとえ、あたしのことが体目当てだったとしても、もう一度触れて欲しかった。
セックスのときだけ、何度も呼んでくれる”紫苑”を、聞きたかった。
結局は、彼とあたしのつながりは、セックスだけだったんだ。
「・・・失礼します・・・!!」
ふわふわの絨毯が敷かれてある床を強くけり、勢いよくあたしは部屋から逃げた。
金ばかりだったあたしの頭の中は、もう神矢しか頭にない。
金か、神矢か。
そういわれれば、絶対神矢をとる。
けれど、それが伝わらないのなら。
あたしは、消えるしかない。