素敵な飼い主様
第7章 戻れない
嘘でしょ?!
そう叫ぶこともできない。
だって、別に彼とあたしはカレカノじゃない。
彼を責めることなんて、できないのだ。
彼は、あたしには他の男と寝るなとは言ったけれど、自分はあたしだけとは言ったこともない。
ただ問題なのは、その相手が椎名様の妻、スミレさんだからであって・・・。
あぁ、駄目だ。
頭がこんがらがってきた。
「ふっなに?その顔。だから言ったじゃないか、早くやめるんだって」
「・・・っ」
馬鹿にしたような顔で、椎名様が近づいてくる。
こんな、人だったっけ?
そんな疑問が、頭を過ぎった。