素敵な飼い主様
第8章 地獄という名の日常
「ごめん、紫苑。結局、俺が君を苦しませていたんだね・・・」
「そうだ」
「神矢!」
椎名様の言葉に便乗した神矢の腕を強く捻り、更に落ち込んだ椎名様の言葉を待つ。
「・・・好きだった。・・・いや、今も。愛していると言えるほど」
「・・・あたしも・・・好き、でした」
初恋だった。
手を繋ぐことも、キスも、セックスも、全部椎名様が教えてくれた。
「今俺が君にできることは、手を離してあげることだよね」
「そうだ」
「神矢!い、今真剣な話をしてるんだか―――――「だが、礼は言わせてもらう。おかげで、気付けたこともある」
また怒ろうとしたあたしの声を神矢が遮って、よくわからないことを口にする。
けれど、椎名様はわかったようで、柔らかく微笑んだ。