素敵な飼い主様
第4章 ダンスパーティー
***
「紫苑、ひさし・・・ぶり」
「そうですね」
戸惑ったような表情で、椎名様はカリカリとほっぺを掻いた。
変わっていない。
どうすればいいかわからないとき、ほっぺを掻く癖。
そんな癖も可愛くて、昔は好きだった。
けれど、困るんだったら話しかけなかったらいいのに。
あたしだって、もう二度と会いたくなかった。
だって彼は、彼女を選んだんだから・・・・・・。
「ここにいるってことは、誰かのところで雇われてるのか・・・?」
「・・・はい。神矢・・・様に」
思わず”神矢”と呼びそうになった。
危ない危ない。
ここは敵だらけなんだから、気を抜いちゃダメ。