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12歳年下の彼とクリスマスする話

第10章 彼と私のクリスマス


『巴さん…もうちょっとしたら
夕食の予約してる時間なんで、
そんなに今はここでゆっくりも
してられない感じなんですけど…
ちょっとベランダ…出ますか?』

お部屋にはベランダがあって、
外に出て景色を楽しむことが出来る。

周囲には…建物らしい建物がないから。
冬の澄んだ星空が上に広がっていて。

「遠くに見える夜景もだけど、
星も…綺麗に見える…んだね…」

彼の身体に自分の身体を預けて、
一緒にベランダから
神戸の夜景と星空を楽しんで。

「ねぇ…港斗君…」

『なんですか?巴さん』

「その…ここ…予約するの
大変だったんじゃないの?」

クリスマスってどこも予約で
一杯になっちゃうから
大変だって聞いた事あるけど。

『ああ。それですか?
8月から予約してたんで。
まだクリスマスプラン出る前でしたけど
部屋だけ押さえて置いたら
後は…受付開始したら
プラン変更頼めばいいだけですから。
あ、え?そう言う意味じゃ…
無かったですか?いや…あの
前に巴さんと一緒に乗った
あのクリーズ船のクリスマスクルーズも
考えたには考えた…んですけどね…』

「大塚国際美術館…行きたかったから?」

『テレビで…米津玄師があそこで
歌ってるの観てからずっと
行きたいなって思ってたんですけど。
でも…一人で行くのもなって…
ずっと行きたいと思ってたけど
行けないままで終わってた場所だったんで』

彼は、大塚国際美術館に
一緒に行く相手が居なかったような
そんな口ぶりで話をしていたけど。
当時の…彼女とか…とは、
行こうとか…って思わなかったのかな?

「でも…その時の…、彼女さんとか
一緒に…行こうとかって思わなかったの?」

『あ~…それはですね、
その時の彼女は…美術館とか
イルミネーションとかに
興味ない子だったんで…。
つき合わせるのは悪いなって…』

ふふふ…と港斗の言葉に、
巴が自分の口元を押さえながら笑って。

「何と言うか…、なんか…
港斗君らしいなって思っちゃった…。
優しい…んだね、港斗君は」

『そ…そんな事…無いですよ…。
僕からしたら…巴さんの方が…
僕なんかよりも…よっぽど…
優しすぎるぐらいに優しいですよ…』


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