12歳年下の彼とクリスマスする話
第10章 彼と私のクリスマス
「えっ…、私は別に…」
優しくなんかないと…
こっちが言おうとするよりも
さきに彼が話をして来て。
『優しすぎるんですよ、巴さんは。
あの例の雄介さんの事にしても、
あの…結婚式の時の…、森園さんの
した事にしても…、もっと…あんなの
巴さんは怒って良いと思いますよ?』
「………でも…、
あの時はあの人にお酒…
掛けられてビックリしちゃたけど。
あの人も…私も…病院の集まりの
あの場所では部外者な訳だし
折角のお祝いの席を、
自分のどうのこうので台無しに
したくなかったから…。それに…」
よしよしと彼に
頭をいい子いい子されてしまって。
『まぁ…あの時は…、
隣のエビちゃんが…ド正論の
ドストレート決めちゃったんで。
僕も…怒れなくなっちゃったんですけど…』
「葵ちゃんは…、可愛くて素直で
とってもいい子だと思うけどな…」
『僕としては…小林さんには
いつまでも森園さんの事を
ズルズル引きずってないで
エビちゃんの気持ちに、
気付いて欲しいですけどね』
「じゃあさ、お疲れ様会とかする?」
私のその言葉が意外だったのか
彼が目をぱちぱちとさせていて。
『お疲れ様会?ですか?』
「だから…5人で…飲み会するとかは?
あの前嶋さんも呼んだらいいと思うの。
それで前嶋さんには、前もって
話を付けて置いて、
2人に…なって貰うと言うか」
そんな計画を話していると、
スルッと腰に手を回されて。
そのまま彼にキスをされる。
「ん…ッ、港斗…君……」
『巴さん、ずっとここに居たら
身体も冷えちゃいますし、
そろそろ中に戻りましょうか?』
夕食は…2階にある
ファンダイニングで
クリスマスディナーコースだと聞いて。
「え?服装とか…って…」
ドレスコードとか…あるんじゃと
そんなドレスなんて、
何も持って来てない…と
巴が…不安そうな顔をして
港斗の方を助けを求める様な
目をして見つめて来て。
『大丈夫ですよ、巴さん…。
今日のドレスコードは
”スマートカジュアル”なんで。
ラフ過ぎなければ…良いと思いますよ』
そうだ…確かに…
今日の彼は…ちょっと綺麗目だって
朝に見た時に思ったんだった。