シャーク×ロストコロニー みにくいケイトはもう逃げない
第1章 ライオンズゲート号
「皆さま、本日はサンダンス航空をご利用いただき誠にありがとうございます
当機〈ライオンズゲート号〉はサイド1ロンデニオンコロニーからサイド6の30バンチ、プレシディオコロニーまでのフライトとなっております
のちほど機長のクリスがデッキまでご挨拶にうかがいます
それでは長旅をお楽しみ下さい」
小型の宇宙シャトル〈ライオンズゲート号〉は定員80名の高速艇だ
月に数回の定期便で古めのロンデニオンから比較的新し目のコロニープレシディオには多くの乗客が乗り込んでいる
昔からロンデニオンに暮らす富裕層は安全地域のプレシディオへ優雅な旅行を
またプレシディオからはロンデニオンに本社を構える各企業の本社へ出張など利用目的は様々だった
しばらくして航行が自動ナビビートに切り替わったらしく船長のクリス・ケンティスがデッキへ降りて皆に挨拶をしていく
「やぁ、キュートなレディ!ようこそ我が船へ」
声を掛けられたのはティーンエイジャーの年頃の少女ケイトだ
彼女は両親とともにプレシディオへ向かっていった
「船長さん、あのコロニーは何?誰も住んでいないの?」
「ああ、あれは廃棄コロニーだね、サイド1の25バンチコロニーだよ
今は連邦軍が訓練に使っているんだ」
「もっと近くを飛ぶ?」
「いやいや、訓練の邪魔になるからね
訓練とはいえ流れ弾にでも当たったら大変だからね」
中年のクリス船長は若い少女と軽い会話を楽しんでいたが、少女は窓の外から見える廃棄コロニーを見つめていた
“こんなに巨大な建造物の横を通り抜けられるなんて…!”
「レディは廃棄コロニーに夢中のようだ」
「スイマセン、娘はロンデニオンから出るのが初めてなもので、コロニーが珍しいんです」
「おかしなものですね、コロニーに暮らしていても外観を見ることは少ない、そうでしょう?
きっと地球人も地球を見たことが無い人のほうが多いでしょうな」
ケイトの父親ダニエル・ワトキンスは話しをしながら少しだけクリス船長に顔を近づけた
「娘の顔を見たでしょう?あの子の顔には幼いときの火傷の跡が残ってしまっていてね、
プレシディオには優秀な美容外科医がたくさんあるとの事なので…」
父親は娘には聞こえないように小声で話した