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シャーク×ロストコロニー みにくいケイトはもう逃げない

第1章 ライオンズゲート号


「あ、ありがとう、船長!」


「礼を言うのはまだ早い!
 この船はもう長くは保たない!
 緊急事態用カプセルがあるのでそちらへ避難を!

 救難信号が発信されるので運が良ければ発見してもらえる」


3人は通路からコックピットへ向かった


ケイトは後ろを振り返る


「他の人は…」


「……申し訳無いがカプセルは少ないんだ」


クリス船長は申し訳無くうつむいた


コックピットの船室に入る


正面には大きな窓

そして2つの座席の前にはたくさんの計器類


狭い船室の後ろ側には緊急カプセルが2基、壁にハンギング固定されていた


「船長!2つしか無いじゃないか!?」


「そうです、はやくふたりとも中に入って!
 私が外から操作します!」


「そ、そんな……」


「あなたたち親子だけでも救えて良かった
 私にはまだすることがあります」


カプセルの壁の扉を開けると中から戸棚があるようだ


そこから宇宙用のライフルを取り出した


「もともとハイジャック対策の防衛用なんだがね、これぐらいしか残っていない
 それでも無いよりはあるだけマシってもんです、さぁふたりとも早く!」


ケイトと父親ダニエルは急かされるようにカプセルへ入れられた


「中に入ったら酸素マスクを付けて下さい
 耳に引っ掛けるベルトがあるでしょう?
 限られた酸素なので代謝を落として睡眠状態になります
 なぁに、次に目が覚めたときは病院のベッドの上ですよ
 それではお二人さん、さようなら」


クリス船長はカプセルのフタを閉じロックするとシュゥゥ、と音とともにふたりは意識を失った



「さぁ、バケモノ退治だ……!!」



船長は簡易の酸素マスクを付けてコックピットから出て行った



何発かのライフルの発射音とともにバキバキと船ごと破壊されていく音が響くが、カプセル内のふたりには聞こえていなかった



やがて


何事もなかったかのように無音となる



静寂の世界



破壊された宇宙シャトルは宇宙空間に漂うチリのようだった


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