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シャーク×ロストコロニー みにくいケイトはもう逃げない

第5章 ケイト・アウェイキング


数時間の間を置いて、再びエミリーはザックが眠る様子を見にやって来た


すでにジェームス隊長は一般病棟に移されている
エミリーが病室まで顔を出しに行くと随分元気そうな様子で、二人の看護師をはべらかせいちゃいちゃしていた


それでも「エミリー、ありがとう」と言ってくれた事はとても嬉しい言葉であった


ザックの状態は落ち着いてきたものの、いまだ覚醒しておらず絶対安静であった


こんな遠くのガラスの向こうからではなく、もっと近くで彼の表情を見たかった


2人を遮る物は部屋を仕切る大きなガラスと、ザックが収容されているカプセルのカバーだ


それらがエミリーにはもどかしい


気になる事はもうひとつ……



いつもこのガラスに張り付いている女の子


さっき会ったときは気にならなかったけど、顔に大きなやけどみたいな傷があるようだ


ついエミリーは彼女をチラチラ見てしまうが、少女のほうは気にもとめず一心不乱にザックの様子を見つめていた


“いったい誰なんだろう、この子?
 ケガをしてるようだけど、やっぱりここの患者なのかしら?
 女の子で顔に傷跡残ってかわいそうに
 
 それにしても、どうしていつもこの場所に居るのかしら?
 ザック先輩の知り合い?
 妹さんが居るとは聞いたことがないけど……”


エミリーは気になって声をかけてみた



「こんにちは、ここの患者さんかしら?
 わたしはエミリー・メイミィ」


「こんにちはエミリー
 わたしはケイト・ワトキンス
 シャトルの事故でここに入院してるの」


エミリーは名前を聞かされてハッ!となった


“知ってる!
 テレビでやってた事故だ!
 数少ない生存者の親子ってやつ!
 うわぁっ!テレビに出てる人とナマで会えちゃったよぉぉっっ”


エミリーは何故か歳下の少女に対してミーハーな気持ちを抑えきれない


“わたしが事故のことをアレコレ聞くのは失礼よね、さすがに”


はやる気持ちを抑え自重する


事故の話題はよしておこうと、ようやく気持ちを鎮める


「このお兄さんが、あなたたちを見つけて助けてくれたのよ、知ってた?」



「うん、知ってる!彼はいつもわたしを見つけて、助けてくれるの、必ずね」



「え? うん……、 ん?」


エミリーは少女の発した“いつも”というのが気になった



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