シャーク×ロストコロニー みにくいケイトはもう逃げない
第5章 ケイト・アウェイキング
「エミリーはザックのことをよく知ってるの?」
「うん、軍の学校のときの先輩なんだよ
ようやく一緒の部隊になれたと思ったら
こんな事になっちゃって……
ザック先輩はね、生身の身体のまま宇宙に放り出されちゃったんだよ……」
ケイトの頭によぎる宇宙空間
それはシャトル事故のときの記憶
窓の外には多くの人間たちが浮かんでいて、そのひとりは母親の姿だ
思い出したくもない残酷な光景
そこから彼は生還したというのだろうか?
“それならすごい!
ザックってやっぱりすこいのね!!”
とケイトは興奮した!
本当に夢の世界からやってきたのだ!
そして、宇宙の残酷な光景を思い出させたエミリーは自分の失言に気付いてなかった
「……このまま意識が戻らなかったらどうしよう……、ザック先輩……」
「大丈夫! ザックはいつでもやってくるから! どんなときても助けに来てくれるよ!」
「へっ????? ああ、そうだね
ザック先輩はそういう人だよね……」
エミリーはとりあえず話しをあわせてみたが、
この少女がザックの何を知っているというのか
頭の中は疑問符だらけだった
「そろそろ私、仕事に行かなくっちゃ!
またサメの報告書だよぉ、もうこれでかれこれ何回目やら……、とほほ」
「サメ?」
ケイトはサメという言葉にギョッとした
また思い出したくないリアルな光景が脳裏に浮かぶ
エイミーはエイミーで、すこし焦ってしまった
“あれっ? サメって話しちゃっていいんだっけ??? 一般人には機密情報なのかしら?”
エイミーは苦笑いをしながら部屋を出ていった
ひとりとりのこされたケイトは相変わらずザックの寝顔を見つめていた