シャーク×ロストコロニー みにくいケイトはもう逃げない
第2章 25バンチの訓練コロニー
宇宙空間に浮かぶ巨大なスペースコロニー
本来ならばシリンダ内部に空気が満たされ、多くの人類が暮らすべき施設だが、このコロニーは静かだった
サイド1のコロニー群の中で廃棄されてしまったコロニー、25バンチ
外壁には巨大なペイントで「25」のナンバリングが見える
もともと民間施設であったコロニーだが、現在は連邦軍の訓練用として残されていた
内部は民生時代の町並みがそのまま残され、市街戦を想定した訓練や、コロニー中央では自然繁茂してしまった密林地域などもあり、野営訓練にも利用されている
その外壁に3人の人影
いや、人間ではない
より巨大な人影
それは3機のモビルスーツ、人型兵器の姿
赤と白の連邦軍の宇宙艦隊カラーに塗り分けられたRGM-86R ジムⅢの3機小隊が外壁で訓練をしている真っ最中だった
「ザック、次の射出はエネルギーを絞ってみてくれ、さっきの出力では戦場では使えない
すぐにエネルギー切れになる」
「了解、ジェームス
さっきの出力から50%に落とす
……それより……オレの見間違いか?
さっきからディスプレーにシグナルが出てるんだが…?
そっちはどうだ、ダン?」
「ああ、オレのほうも点いたり消えたりしてる
故障か何かだと思ってたんだが……」
ザック、ジェームス、ダンの3人はそれぞれのコックピットに表示される点滅に注視した
「あ、また消えた」
「俺のほうもだ、センサーの不具合なら3機同時はおかしい」
「ふむ、電波が微弱なのか、周囲に遮蔽物があるのか、定期的に届くのなら回転している漂流物があるかもしれない」
「訓練は中止して捜索してみよう」
「ああ、救難信号のようだし、生存者を確認しよう」
3機のジムIIIは軽くスラスターを噴き、足元のコロニーからゆっくり離れていった
三角形に離れた小隊はゆっくり宇宙空間を進む
そこで彼らが見つけたのは破壊された宇宙シャトル「ライオンズゲート号」の残骸だった…