シャーク×ロストコロニー みにくいケイトはもう逃げない
第8章 ジョージタウン、乱戦
クレリアはベッドに寝かされていた
手足は拘束されている
意識が戻った途端、再び薬を嗅がされる
薬を嗅ぐと意識が朦朧とする
眠たいような、眠れないような、不思議な感覚
自分は白い肌着を着させられ、身体には何かドロドロした粘性の高い液体をかけられていた
「しゅ、趣味が悪いぞ……デミトリッヒ!」
ギリギリの意識の中でクレリアは悪態をつく
薬を嗅がせた者はさっと身を引くと、後ろから青白い青年が現れた
「強がりはよせ、クレリア」
デミトリッヒと呼ばれた青年は整った顔立ちをしていた
女性のように綺麗な肌
恐ろしいほどの白さ
うっすら頬を赤く染めている
そして唇は血のように赤かった
デミトリッヒは小さな坪を傾けると、中からドロドロした液体が流れ落ち、クレリアの白い肌着を濡らしていった
「クレリア、これがなんだかわかるかい?
教会に聖水があるように、我々にも怪しげな水があってね
ヒトをケモノに変えるモノだよ」
「やっぱりアンタは趣味が悪いよ」
デミトリッヒは液体を肌に刷り込むように塗っていく
「触るな!けがらわしい!」
クレリアは唾を吐きかけた
「面白いものだね、キミたちが儀式で悪魔祓いをするとき、キミたちは聖水をかけ、悪魔は唾を吐く、それがいまはどうだ?
立場が変わっても、やってることは同じだ
つまり神も悪魔も関係ないってことだ
キミたちはの言う神ってやつも、悪魔と変わらない、いや悪魔の一種かもしれないよ?」
「黙れ!! 神を悪魔と同じにするな!!」
「いつまでそうやって強がっていられるかな?」
デミトリッヒは人差し指を突き出すと、その爪がゆっくり伸びていった
なぜ伸びるのか、わからない
彼は爪をペーパーナイフのようにクレリアの肌着に引っ掛けると、ツゥーー、と切り裂いていった
クレリアは屈辱に顔を歪める
“悪魔に汚される!!!!”
クレリアは覚悟はしていたものの、背筋が凍るような思いを味あわされた……