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シャーク×ロストコロニー みにくいケイトはもう逃げない

第2章 25バンチの訓練コロニー


「あら、ザック!もうあがり?」

声をかけてきたのは医療チームのスージーだ
長い金髪を下ろしてラフに見える
普段すれ違う時は髪をまとめてアップにしているので、どこか雰囲気が違う気がする

ザックと同じモビルスーツパイロットのマットと結婚しているのでたまに挨拶を交わす程度の知り合いだ


「俺達のせいで旦那の帰りが遅くなりそうだね」

マットはシャトルの残骸と遺体の回収のため出動していた


「それは仕方ないことよ、それよりよくアナタ生存者を発見出来たわね!あと数時間遅かったら酸素が尽きていたと思う」


「ふたりともどんな感じ?大丈夫そうかい」


「所持品からして2人は父親と娘のようね
 父親はもう意識が戻っているわ
 最初はパニック状態になって訳の解らないことを叫んでいたの
 大変だったわ!
 今は落ち着いて軍が調書をとっているわ」


「訳の解らないこと?」


「サメに襲われた、とか何とか」


「サメ? 地球の? 海に居るあの?」


「事故当時のあまりの恐怖で脳が混乱しているのね?きっと前日にくだらないサメ映画でも見たんだわ」


「娘のほうは?」


「それが、まだ意識が戻らないの
 昏睡のまま…
 外傷は無さそうなんだけど、顔の傷跡は今回の事故とは関係無さそうなんだけど」


ザックはシャトルのコックピットでカプセルを見つけた時のことを思い返していた


カプセルの透明な強化ガラスの向こうで眠る少女


その顔は赤く大きなアザのようなものがあった


ただ当時は事故現場で視界も悪かったし、ヘッドライトに照らされた程度の視認だったのであまり覚えていない


“そうか、あの顔の影は光りの加減ではなくアザだったのか”


ザックは飲みかけのコーヒーを飲み干した


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