ぼくはキミを追い払えない 〜エクソシズム†ロストコロニー
第3章 シモンズ・シモーヌ
翌日の朝
テーブルに突っ伏して眠っていたフィルをガン!と硬い野菜で叩き起こしたのは二日酔いのクレリアだった
「痛たたたたた、何するんですかッ!
死んじゃうじゃないですかッ!?」
「ああ、すまない、思った以上に痛そうな音だったな?明日からはもっと柔らかい野菜を探しておこう!
それより、キミは誰だ?」
「ええっ!? 覚えてないんですかッ!?」
「なんとなく見覚えがあったような気がするんだが、いまいちハッキリしない
現にキミの顔を見ても名前が出てこない
どうしてわたしの家に上がり込んでいるんだ?
神のしもべたる私ということもあるが、
れっきとした女性の家に勝手に上がり込むのはどうかと思うぞ?」
クレリアは本当に覚えていないらしい
もしかして最初に会ったときからすでに酔っ払っていたのか?
フリードキン神父の紹介と、シモンズの案内を説明すると、クレリアはふたたび憤慨して、2人を罵った
フィルは昨日と同じことを言ってるよ、と呆れるしか無かった
「それでなんだって?なにしに来たんだ?
とりあえず朝飯でも食いながら話そう」
そう言って硬いパンとともに赤いワインを取り出そうとしたのでフィルは慌てて取り上げた
「悪魔祓い? またえらい物騒な事を言う奴だな? そう簡単に出来ると思い込んでるのが腹立たしい! 最近の若い奴はやたらと知りたがるくせに、ろくに仕事は覚えないんだから!」
「お願いします! 悪魔はとても強力で何人も被害が出ています
ボクではとても力不足で……」
「それでマックスに泣きついて、フリードキンに泣きついて、ようやく私のところへ来たわけか
彼らは神父の中で悪魔祓いが出来るという連中だ
わたしは違うぞ?
悪魔祓いしかしないんだ!
ある種、彼らより専門家だ
わたしに泣きついてきたのは正解だが、
教えてくれというのは不正解だな、
誰でも出来るものではない
わたしはいま21歳だ、若いだろう?
若い私がなぜそこまで出来ると思う?」
「壮絶な過去がある、とか?」
「ちがう、才能だッ!」
クレリアは自信満々に笑顔を見せ、
フィルは呆れてうなだれてしまった