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ぼくはキミを追い払えない 〜エクソシズム†ロストコロニー

第3章 シモンズ・シモーヌ


クレリアとフィルは教会の横の小さな扉から隣の建物に移動した


教会も手作りな簡易的なものだったが、隣の建物はさらに簡素なものだった


納戸?と思って中を覗いたらせまい台所と、さらに奥の部屋にはベッドらしきものがあったのでここがクレリアが寝食に使う建物なのだと察した


「汚いけどね、信者の人たちがみんなで作ってくれた場所だから思い入れがあるんだよ、
 さっきの信者さんがね、いろいろ食材を持ってきてくれたから何か食べよう!」


「いえ、ボクはさっき食堂で食べてきたので」


「そう言うなよ、少年!大きくなれないぞ?
 なんだよ、その細い腕は?」


クレリアはザクザクと野菜をぶつ切りにして鍋に投げ込んでいく
そして冷蔵庫から人工ミートを取り出して湯がいていく


2人で向き合ってささやかな食事だ
お祈りをしてから食事をいただいた

赤ワインを勧められたがフィルは断った

「これが神の血なんだってさ?
 そして肉が神の肉なんだと!
 じゃあ人工ミートなら神は人造人間だって言うのかね?アハハハ!」


クレリアはすぐに酔っ払ってしまった


「酒が弱いのなら飲まないで下さいよ!」

「弱いから飲むのさ?神の血を取り込む!
 神のパワーをもらうのさ!アハハハ!」


なんともえらいところへ来てしまったな、とフィルは後悔していた


サイド1へ行きたいと言い出したのはフィルのほうだった

神父フリードキンは、自分には悪魔祓いの力がそれほど強くないと自認していると告白した


彼も地球の老神父マックスに弟子入りしたものの、すべてを学びきれないまま宇宙へ旅立っていたのだ


フリードキンはサイド1に居るクレリアを紹介してくれた

自分と違って固定観念にとらわれない新しい力を持った人物だと推薦してくれたのだ

そしてクレリアは悪魔祓いがとても強力なのだ、とも


そうした経緯もありフィルはこの遠い宇宙の果てまでやって来た

だが目の前の人物はただの酔っぱらい
それも神父のマネごとをしているコスプレ神父だった

酔いつぶれたクレリアを前に17歳の少年は途方に暮れていた


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