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アパート

第4章 隣人

それから2週間程、沙耶香と会うことはなかった。

部屋のドアの閉まる音、車の音で、出かけたり帰って来たりする気配は感じるものの会うことはない。偶然外で会う以外は、沙耶香がチャイムを鳴らさない限り、会うことはないのだ。

そんなある日、チャイムが鳴った。インターホンから、

「谷川さん!いますか?」

という沙耶香の声が聞こえた。話し方が敬語に戻っている。

僕は、ゆっくりドアを開けた。

そこには、Tシャツにショートパンツといういつもの姿の沙耶香がいた。いつもと同じように薄くメイクをしているように見える。

沙耶香は、僕を見ると、

「谷川さん、今大丈夫ですか?」

と聞いた。僕は、

「特には用事はないですが…。」

と言うと、沙耶香は、うつ向き加減に

「谷川さんには、聞いてほしいことがあるんです。」

と言った。

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