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第4章 隣人

沙耶香の聞いてほしいという話は、先日彼氏がいるからという理由で食事を断られた訳だから、彼氏に関する話だろうということはほぼ間違いないはずだった。

僕は、彼氏がどんな人かという彼氏の人物像の話を聞かされるのだと思っていた。

沙耶香は、あまり僕の方を見ることなく、

「私、悪い子だったの!」

と言った。

「中学生くらいの時に、悪い仲間と遊んだりして、家に帰らないことも多かったり、不良少女っていうのかな?そういうのだったの!仲間の男の人の家にもよく泊まってた。」

突然のカミングアウトで、僕にはこれからの展開が分からなかった。

彼氏の話じゃないのか?それとも、僕と食事に行けない理由がそれと関係あるのか?

僕は、沙耶香がこれから何を言おうとしているのか分からないが、何か深刻な話なんじゃないかと感じた。

すると沙耶香は、自分の過去の生い立ちを色々話してくれた。分からなかったこともあったし、時系列がハッキリしないことや、聞きたいこともあったが、それを聞くことは、傷つけることになったり失礼であったりすると思い、沙耶香が話すこと以外を聞き出すということはしなかった。

沙耶香の話をかいつまんで言うと、どうやらこういうことらしい。

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