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アパート

第7章 人間もよう

当日、11時30分ころに回転寿司の駐車場で待ち合わせた。電話が鳴り、入り口へ来てくれと言われ電話をしながら入り口に向かうと、既におじさんが電話を耳に当てて待っていた。おじさんは電話を切ると、

「おう!すまんな!突然誘って…。まー、寿司でも食べながら話そうや!」

と言ったあと、小さい声で、

「あー、確かに良い男だな〜!」

と言った。

初めて見るそのおじさんは、60歳後半〜70歳前半くらいの年齢に見える。僕は、この人の意図が分からず少し警戒した。

寿司屋に入ると、ちょっと値段が高めの回転寿司屋で、

「何でも好きなもの食べて良いよ!私が支払うから!」

とおじさんが言った。

おじさんは、先ず自己紹介し、その後僕の経歴等を聞いた。おじさんは、以前は市議会議員をしていたらしい。今は引退しているそうだ。

寿司を食べながらアパートの居心地はどうかとか、アパートの大家の苦労などの話を聞かされ、一通り寿司を食べ終わると、おじさんは、

「じゃー、ここを出て喫茶店でコーヒーでも飲もうや!」

と言った。

寿司屋のある通りの反対側に喫茶店があり、そこに歩いて向かい、喫茶店に入るとコーヒーを注文した。

そして、コーヒーが出てくる前におじさんが話を切り出した。

「ところで、アパートの住人のことなんだが、103号室に住んでいる女性のことなんだが…。」

と言った。僕は、「やっぱり」と思った。

何か目的があるとは思っていたが、沙耶香のことだ。

「あの子ことはどう思っている?」

と聞かれた。僕は、一瞬答えに詰まったが、

「良い人だと思っています。」

と言うと、おじさんは、

「失礼なことを聞くが、付き合いたいとかいうことは考えているの?」

と言うので、僕は、

「はい!」

と答えた。するとおじさんは、

「う〜ん、君はあの子から何か聞いていないか?今までの生立ちとか…。」

と言った。

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