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不倫白書Ⅱ

第1章 禁断の快感

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 完全にわたしは変わったみたいだ…

 いや、進化したのかもしれない…
 

 そして次の日の土曜日。

 わたしは本当はパートはお休みなのだが、夫に…

『急に今日のシフトの人がお休みになっちゃって、代わりに頼まれちゃったの…』
 と、嘘をつき…
 一人で渋谷の街へと出掛けたのだ。

 それは夫に対しての初めてに近い嘘であり…
 これはある意味、進化かもしれない。


 そしてこの時のわたしは…

 ソワソワと激しく胸が高鳴り、昂ぶり…

 そしてザワザワと心が騒めき、揺れ動いてしまい…

 とても出掛けずにはいられなかったのでもある。


 それによほどの事が無ければ、土日の休日の夫は…
 一人でパチンコか競馬に出掛けてしまうから、わたしの事等どうでも良いのだと思われた。

 そして案の定…

『ふぅん、そうなんだぁ、大変だなぁ…』
 と、まるで他人事の様に呟きながら、パチンコか競馬に出掛けたようであったのだ。

 だからわたしの心には罪悪感などは一切湧かず、逆に、目一杯のお洒落をし、化粧をし…
 一人、渋谷へと出掛けたのである。


 なぜ渋谷なのか?…


 それは別に取り立てて理由は無いのだが…

 しいていえば、リョウくんと出逢って、抱かれたのが渋谷だったから。
 
 いつもパート帰りに寄る映画館が渋谷だったから…

 いや、違う…


 もしかしたら…

 もしかしたら…

 偶然に渋谷で彼に…

 バッタリと出逢えるかもしれない…
 そう、心が囁いてきたからである。



 もしかしたらと…



 でも、自分から彼を、リョウくんを…

 誘う勇気は無かったのだ。



 そんな一度抱かれたからって…

 たった一度寝たからって…


 それにこんな一回りも歳上のオバさんの事なんて…


 もうイヤに…

 飽きれて、呆れて、しまっているかもしれないし…


 つまりは…


 断わられるのが…

 ラインを無視されるのが…

 もしかしたら電話に出てくれないかもしれない事が…


 怖いから…




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