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不倫白書Ⅱ

第1章 禁断の快感

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 リョウくんに逢いたいのだが、自分から誘う勇気は無かった…
 だけど、彼と出会った街、渋谷へとわたしの心が導いたのである。

 わたしはほぼ毎週、渋谷の映画館へと出掛けていた位であったから…
 渋谷の街は馴れ親しんでいたはずなのだ。

 だが…

 今日の渋谷の街は…

 渋谷の駅は…

 スクランブル交差点は…

 新鮮であった。

 いや、いつもと違う…

 新鮮な輝きに目に映ってきていたのだ。

 そして…
 当て所無く彷徨う訳にもいかないと思い、また、これからの自分の為にもと、何着かの洋服を買おうと思い、まずはデパートを巡る事にする。

 来週、リョウくんに逢うのにどんな服を着ていこうか?…

 これから何度か逢いたいから、何着かは欲しい…
 等々、心が昂ぶってきていた。

 いや、こんな気持ちで洋服を、いいえ、渋谷の街を、デパートを巡るのは…

 結婚以来、初めての事である。

 まさか、こんな想いがわたしの心に沸き起こるなんて…
 そんな心の昂ぶりに違和感さえ少し感じていた。

 そしてそんな違和感を感じながらも、新たな洋服を…
 装いを求めて渋谷の街を巡っていく。

 なんとなくそんな違和感が、なぜか心地良く感じていた…
 いや、ソワソワとした心の騒めきが新鮮であった。

 いつもは目にも入らない様な、自分には派手目かな?…
 そう感じる様なデザインの洋服や、アクセサリー、靴等々がなぜか目に、心に引っ掛かってきていた。

 そして常に心の中に…

 リョウくんに褒められるかしら?…

 似合うって言ってくれるかしら?…

 そんな想いが顔を出してくる。


 ああ、これじゃぁ、まるで恋心みたいだわ…

 こんな、もう37歳にもなる中年女が…

 気持ち悪いわ…

 だけど…

 この昂ぶりは…

 納まりそうもなかった…



 

 

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