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一夜限りでは終わりたくない

第1章 一夜限りの関係


昨日の男が藤堂副社長であるはずが無い。
変な事を聞かずに良かったと胸を撫でおろす。

確かに里香の言っていた藤堂副社長のイケメンオーラは凄かった。
ただ、情報に疎い私でも、以前何かの情報誌で顔は見たことがあった。

端正な美しい顔立ちだが、意志の強そうな漆黒の瞳。
高い鼻筋に少し薄めの唇。
髪はきちんと整えているが、額にハラリと少し落ちた長めの前髪もセクシーだ。
背も高く細身だが、肩幅や胸板がしっかりあるようでスーツの着こなしも綺麗である。
男の色気も駄々洩れと言った雰囲気の男性だ。

あまりに完璧すぎて、私には縁の無い人だと感じる。


今日の午後は重要顧客に営業で訪問の予定がある。
この顧客は先任の涼子先輩から引継ぎをしたばかりのだ。
涼子先輩は私の憧れの先輩で、結婚を機にNY支店に転勤になるのだ。

私は気持ちを切り替えて、営業先へと向かった。

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