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一夜限りでは終わりたくない

第2章 曖昧な関係


「奈々…どうしたんだ?急に泣き出したりして…」

翔也は泣き出した私を見て慌てている。
意味が分からないのだろう。

すると、その場に居たお母様が口を開いた。
両手を広げて呆れた口調だ。

「まったく…翔也さんは昔から勉強は出来たのに、女の子の気持ちは全く分からなかったわよね…成長していないわね。」

「お母さん…奈々が泣いているのは僕のせいだと言うのですか?」

お母様は大きく頷いた。

「昨日からの行動をよく考えてみる事ね。」

翔也が朝方に帰ってきたことを知っていたようだ。
お母様はそれだけ言うと、立ち上がり部屋から出てしまった。
お母様に続き、家族は皆立ち上がり部屋から出てしまったのだ。

残されたのは私と翔也の二人だ。

翔也は少し気まずいように小さい声で話し出した。

「…奈々…何か誤解しているようだが…間違えていたらすまない…もしかして奈々は、やきもちを妬いているのかな?」

「……」

私は何と答えて良いのか分からず言葉が出なかった。

「…専務のことか?」

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