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──拝啓、支配様

第4章 4

だから、こんなに必死に喚き散らしているのだろうか。

どこからか漏れたなら話にならないと。

なんなら、僕に今すぐバックアップも記録も消せ。と、首元に刃物でも突きつけ、脅迫したい気分だろう。

でも出来ない。

何故か。僕が死を怖がらなかったから。

その時点で彼は詰んだ。

彼は、僕が怯えたり、許して下さいと、泣き喚く存在だと考えていたんだろう。

自分にとっては、何もない、幾度となく繰り返した“狩り”でしか無かったのだろう。

それを見謝った。

ならば彼の“負け”だ。

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