はなことば
第3章 Gyssum grass《社長》
葉月「社長、ネクタイの色これでいいですか?」
凛太郎「うん、青島にまかせる」
葉月「つけますね」
ネクタイを首にかけ、
結び始めた
凛太郎「青島、そういえばあの企画良かったよ」
葉月「ありがとうございます」
凛太郎「青島、今日……
コンコン(扉を叩く音)
河野「社長、早くしてください。
迎えの車もう到着されてますよ」
秘書の河野さんが社長室に入ってきた
葉月「社長、ネクタイ出来ました
行ってらっしゃい(^^)」
凛太郎「あ、あぁ……行ってくる」
.
自分の席に戻ると隣の席の後輩、
蜂谷ちゃんが声をかけてきた
蜂谷「また社長室ですか?」
葉月「うん、まあね」
蜂谷「なんで派遣社員の葉月さんが衣装係なんです?」
葉月「3年前、派遣で入職してすぐの頃、緊張して社長の服にコーヒーこぼしちゃって…
大丈夫って言われたんだけど、お詫びに洋服をあげたの」
蜂谷「何あげたんです?」
葉月「シャツとネクタイ」
蜂谷「それで?」
葉月「…それが凄い気に入られちゃって…
いつの間にか、衣装係に…( ˊᵕˋ ;)」
蜂谷「あっ!そうだ葉月さん、」
葉月「ん?」
蜂谷「話変わるんですけど
…聞きました?正社員の話」
葉月「あぁ、2人だっけ?来月の正社員採用」
蜂谷「私、次は葉月さんだと思うんですよね」
葉月「え?」
蜂谷「だって3年ですよね?
この間の企画書も部長に褒められてたし
それに社長のお気に入りじゃないですかぁ」
葉月「別に気に入られてるわけじゃ」
蜂谷「私、応援してますから!」
葉月「うん、ありがとう」
.
派遣社員になって3年_
毎年この時期はドキドキする
正社員への道か
契約の更新か
クビか
とことんこの会社に尽くしてきた
派遣社員であるにも関わらず
企画の提案、準備をして評価もされた
蜂谷ちゃんも言っていたけど
社長室を出入りできる数少ない人材なわけで…
今回は期待してもいいかもしれない_