デリヘル物語
第5章 take4.1〜
「谷崎さん――」
「ああ、わかってるよ。一刻も早くなんとかしなければな」谷崎は僕にそう言っている最中なにかを思い付いたようだった。「……そうだ、高橋くん!」
「どうしたんですか?」
「きみがやっていたその儀式を今やってみるのはどうだろうか……」
「儀式だなんて、そんな……」でも、僕には……いや、僕達には躊躇っている時間などない。だから僕は谷崎の提案をすぐに承諾する事にした。「わかりましたよ、谷崎さん。それでもし、谷崎さんが元の世界に戻れるんなら、僕やってみます」
谷崎は期待を込めた眼差しで僕を見た。「そうか、やってくれるか――なら頼んだぞ、高橋くん」
「はい……」僕は、谷崎を見て頷いた。それから、ばたんっと勢いよくドアを締めると、くるりと向きを変えて、部屋の中央へ向かった。