デリヘル物語
第6章 take4.3〜
「それに、今ならまだ間に合うかもしれないだろ?」谷崎は僕に再び左腕を差し出した。
『05:42:31』
「あの儀式をもう一度やってみないか、高橋くん」谷崎がいつもの笑顔で言った。
僕は頷いた。「はい……ぐすっ……谷崎さん、僕……もう一度……ぐすっ、やってみます……」
僕はそう言って、右手で自分の涙と鼻水を拭いながら、振り返ると、そのままばたんっとドアを締めた。
そして再び部屋の中央へ向かった。
その時、ドアの外からピピピピピピっ……とアラーム音が聞こえてきた。でも、僕は立ち止まる事なく部屋の中央へと向かった。