お題小説 カレイドスコープ
第1章 kaleidoscope
3
実家のある田舎は最近流行りの合併をしたある地方都市の中に存在する小さな町である…
一応ローカル線の駅があり、小さな駅前だけがかろうじて栄えている様などこにでもある町であった。
そして実家は駅前から徒歩20分の距離の場所にある…
「ふうぅ、暑いなぁ」
駅を出て歩いていると真夏の灼熱の日差しと熱気が襲ってくる。
「ん?」
そしてそんな暑さ、熱さの中を歩いていると遠くから…
ピーヒャラ、ピーヒャララ…
というお囃子の練習をしているであろう軽やかなリズムが聞こえてきたのだ。
「あぁそうか明後日の土曜は『夏祭り』なのかぁ」
たまたま電柱に貼ってある『夏祭り』のポスターも目に入ってきた。
この町には大きな氏神様の『神社』が鎮座しており、お祭り、特に『夏祭り』だけは大きなお神輿がせり歩き、お囃子のリズムが心を囃したてる様な町を上げてのそれは立派な、そして賑やかで派手な『夏祭り』が開催されるのだ。
「そうか『夏祭り』かぁ…」
思わず感慨深くそう呟いた。
そう、この町の住人の個々の誰彼もが、少なからず色々な『夏祭り』の思い出や想いを持っている様な特別なお祭りといえるのである…
そして俺にもそんな『夏祭り』の想い、甘酸っぱい青春の思い出があったのだ。
「あれ、勇人じゃん?」
するとそんな感慨に浸っていた俺を現実に戻す声が、傍らを通り過ぎて止まったクルマから聞こえて振り向く。
「え、あ、栄ちゃんか?」
その声を掛けてきたのは幼馴染の佐藤栄二であった。
「葬儀に帰ってきたんか?」
「うん」
「久しぶりだなぁ、乗れよ、家まで乗せてくよ…」
クルマに乗せてくれ、そう話してきた。
彼は近所の幼馴染でもあるのだが、小さな町だからこんな冠婚葬祭、特に葬祭等は瞬く間に町中に拡がってしまうのである…
「久しぶりだなぁ、10年振りくらいか?」
「あ、うん、そう…」
「東京でサラリーマンなんだって?」
「あ…う、うん…」
否定は出来ない、そう応えるしかなかった。
「でもばあちゃんは残念だったな」
「うん、ありがとう」
ばあちゃんの享年は88歳であった。
「あ、そうそう、ちょうど『夏祭り』じゃんかぁ、他のみんなも結構帰省していてなぁ…」
実は『夏祭り』前の今夜に、毎年プチ同窓会を開いているから来いと誘われたのである…
実家のある田舎は最近流行りの合併をしたある地方都市の中に存在する小さな町である…
一応ローカル線の駅があり、小さな駅前だけがかろうじて栄えている様などこにでもある町であった。
そして実家は駅前から徒歩20分の距離の場所にある…
「ふうぅ、暑いなぁ」
駅を出て歩いていると真夏の灼熱の日差しと熱気が襲ってくる。
「ん?」
そしてそんな暑さ、熱さの中を歩いていると遠くから…
ピーヒャラ、ピーヒャララ…
というお囃子の練習をしているであろう軽やかなリズムが聞こえてきたのだ。
「あぁそうか明後日の土曜は『夏祭り』なのかぁ」
たまたま電柱に貼ってある『夏祭り』のポスターも目に入ってきた。
この町には大きな氏神様の『神社』が鎮座しており、お祭り、特に『夏祭り』だけは大きなお神輿がせり歩き、お囃子のリズムが心を囃したてる様な町を上げてのそれは立派な、そして賑やかで派手な『夏祭り』が開催されるのだ。
「そうか『夏祭り』かぁ…」
思わず感慨深くそう呟いた。
そう、この町の住人の個々の誰彼もが、少なからず色々な『夏祭り』の思い出や想いを持っている様な特別なお祭りといえるのである…
そして俺にもそんな『夏祭り』の想い、甘酸っぱい青春の思い出があったのだ。
「あれ、勇人じゃん?」
するとそんな感慨に浸っていた俺を現実に戻す声が、傍らを通り過ぎて止まったクルマから聞こえて振り向く。
「え、あ、栄ちゃんか?」
その声を掛けてきたのは幼馴染の佐藤栄二であった。
「葬儀に帰ってきたんか?」
「うん」
「久しぶりだなぁ、乗れよ、家まで乗せてくよ…」
クルマに乗せてくれ、そう話してきた。
彼は近所の幼馴染でもあるのだが、小さな町だからこんな冠婚葬祭、特に葬祭等は瞬く間に町中に拡がってしまうのである…
「久しぶりだなぁ、10年振りくらいか?」
「あ、うん、そう…」
「東京でサラリーマンなんだって?」
「あ…う、うん…」
否定は出来ない、そう応えるしかなかった。
「でもばあちゃんは残念だったな」
「うん、ありがとう」
ばあちゃんの享年は88歳であった。
「あ、そうそう、ちょうど『夏祭り』じゃんかぁ、他のみんなも結構帰省していてなぁ…」
実は『夏祭り』前の今夜に、毎年プチ同窓会を開いているから来いと誘われたのである…