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【お題小説】雨の日のイツキ(4ページ完結)

第1章 【日曜日の朝】

「ジロウ?あれカッコいいよね??」


小学生のイツキ君がテレビを見ながら言いました


それはハンバーガーチェーンのテレビコマーシャル、どうやら子供向けのセット商品のオマケが今やってる特撮ヒーロー番組らしいのです


シングルマザーのタマキと、
ひとり息子のイツキ君

ふたりが暮らす部屋に転がり込んで数ヶ月が経った頃、日曜日の朝はニチアサヒーロータイムをイツキと一緒に見るのが恒例となってます


「欲しいの?イツキ」

「……ううん、別に」


コマーシャルは終わって番組に戻りました

それからぼうっとテレビを見て、番組が終わったらボクは仕事に行く準備を始め着替えてました


「じゃあ、行ってくるね」


「うん」


ママのタマキは夜のお仕事をしているので午前中は眠っています


ボクは営業部所属で数店舗を担当するマネージャー、日曜日も店舗を巡回します

今日入店する予定の店舗はオーナー店長さんが不在となるので代わりにボクがお店に入りこむスケジュールでした

ところが今日はあいにくの雨

家を出て商店街を抜け傘をさして駐車場までやってきたとき、そのオーナー店長さんから電話がかかってきました

「ごめん、ジロウ君!雨で予定がキャンセルになったからお店に出ることになったから!
今日はこっちは大丈夫だから!」

なぁんだ、久し振りにフルタイムで売り場に居られるから楽しみにしていたのに!
マネージャー職になってからはノートパソコン使ったメールやEXCELの指示やら確認ばかりの業務なので、たまには気分転換がてらにちょうどいいと思っていたのです


ちょうどそのあと上司の支社長から電話があり、予定が変わった事を伝えると

「ジロウ、お前先週も休みを取らなかっただろ?特に急ぎの用事が無いんだったら今日は休みにしとけ」

と言われてしまいました

確かに先週は自分の担当地区の巡回にプラスして、他のエリアのマネージャーと同行ラウンドをしていたのでたまたま休む隙間が無かったのです


せっかく駐車場まで傘をさして出てきたのに、ボクはトンボ帰りすることになってしまいました


「あれ、ジロウ?忘れもの??」

帰宅するとイツキがポカンとしてました

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