【お題小説】雨の日のイツキ(4ページ完結)
第1章 【日曜日の朝】
「急にお仕事が休みになったんだよ、この雨だからね」
傘をさしていたのでそんなに濡れてはいませんが、服は湿気を吸ってます
どうせ今日は1日中こんな天気なのでしょう
「イツキ、ハンバーガー食べに行こうか?」
「えっ!?」
イツキは大喜びしてくれました
さっきテレビで見たおもちゃ付きのセットも楽しみでしょうが、もうひとつ楽しみなのは先日買ってあげた子供用のレインブーツを履ける日がやってきたからです
タマキはまだ眠っているので、ふたりで出かけましょう
商店街のアーケードの通りにも件のハンバーガーチェーンはあるのですが、せっかくレインブーツを楽しみたいのなら商店街を抜けたバイパス側のお店まで行ってみましょう
バイパス側のお店は駐車場もあるし、ドライブスルーもありますし、幼児向けの遊べるコーナーもあります
「行ってきていいよ」と言うと
「ボクそんなに小さい子じゃないよ?」
と言われてしまいました
イツキはセットに付いてたヒーローの人形を見てご満悦です
もともとママのタマキとふたりで暮らしていたイツキ君はあまりママを困らせないようにという習慣がついてしまっているのか、あれ欲しいコレ欲しいという事を言わない子でしたので、セットのオマケといってもとても嬉しがってくれました
そんな楽しそうなイツキの姿を見るとこちらも楽しい気持ちになっていたので周りが見えていなかったのですが、実は近くのテーブルにイツキの同学年の女の子がいたみたい
「あ、イツキくん!」
ボクとイツキが呼ばれた方向を振り向くと、テーブル3つ離れたところに家族連れが遅めの朝食を楽しまれていました
4人家族のうちいちばん小さい女の子がこちらに手を降っています
イツキも小さな手をパーに広げて応えてました
「ともだち?」
「うん、去年のクラスメート」
それからイツキはヒーローのオマケに気持ちが戻っていました