【お題小説】雨の日のイツキ(4ページ完結)
第1章 【日曜日の朝】
食事を終えてハンバーガー店を出ました
あいかわらずのどしゃ降り
傘をさして商店街のアーケードまで歩きます
ここの商店街は観光地も近いこともあって賑やかな商店街で、かなり人通りが多いところです
黄色い傘をたたんで、黄色いポンチョに黄色いレインブーツ、イツキは全身がイエローです
でもヒーローのほうはレッドが好きなんだそうです
商店街を歩いていると後ろから声をかけられました
小さな女の子とママさん
「あの子もクラスメート?」
「そう、今同じクラスだよ」
「こんにちは」
「こんにちは」
商店街の人混みなのであまり立ち話はジャマになりますので、軽く挨拶だけして別れました
「イツキは女の子の友だちが多いんだね」
「女の子はめんどくさいよ?勝手に付き合ったことにされちゃうんだ」
「小学生で付き合うとかあるの?」
「あるよ」
「付き合って何をするの?」
「え〜っとね、一緒に帰ったり、手紙を書いたり……、あ!あとねジャンパーを貸してあげるの」
「ジャンパー?それじゃあイツキが寒いじゃん?」
「うん、だから学校行くときはジャンパー2枚着ていくんだよ?知らないの?」
イツキは当たり前のように言ってますが、ボクの時代にそんな流行りはありませんでした
とうやら他の女の子と話しをしたり、上着を貸してあげたりすると浮気認定されてしまうのだそうです
なるほど、確かにめんどくさい
話しを聞いていくとさっきのハンバーガー店で会った女の子と商店街で会った女の子はイツキを取り合ってひと悶着あったのだそう
それでイツキはつれない素振りをしていたのか
「ねぇジロウ、ヒーローもさぁ、ピンクとイエローで取り合いとかするのかな?
レッドとか可哀想だよね、一生懸命戦ってるのにさ?」
イツキは戦隊ヒーローのレッドの気苦労を心配していました
ボクはちゃんと気配りできるヒーローなので、ちゃんとタマキの分のハンバーガーをテイクアウトしていましたので、帰宅してもひと悶着はありませんでした
【おしまい】