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子供(オトリ捜査スピンオフ)

第1章 痴漢行為

その日は、息子の「翔」が歯医者に行く日なので、学校を休み私が付き添って電車に乗っていた。

ちょうど通勤時間のせいで車内はとても混雑し、乗客の体と体が密着する状態だった。

息子は今、小学生5年生。背が小さく見た目は低学年に見える。

ぎゅうぎゅうに体がくっついて身動きができない中、翔が、私を見上げて、

「お母さん、まだかな~。」

と私に聞いたので、

「あと、駅5つくらいかな~。」

と答えた。

その後、2駅くらい進んだ後、

「お姉さん、きれい!きっとモテると思う。」

と言う翔の声が聞こえた。突然のことで私は、翔が何を言っているのか分からなかったが、翔を見るとすぐ隣にいた女性を見上げて言っていることが分かった。私は、その女性のことを全く意識していなかったので、

「すみません!子供が変なこと言って!」

と言って、謝った。その女性は、可愛い感じだが、仕事の出来る雰囲気の漂う身長が高めの20代後半くらいの女性だった。女性は、

「いいえ!良いんですよ!それにしても混んでいて大変ですね!お子さんも連れていますし。」

と言った。私も女性に合わせて、

「満員電車は嫌ですね!」

と言って、女性と私は、世間話をした。

どのくらい話しただろうか?女性とたわいのない話をしていると、女性は、少し先ほどよりソワソワして私と目を合わせないように会話しているように見えた。

私は、もしかしてトイレに行きたいのかな?っと思ったが、失礼でそれは聞かなかった。すると、

「ここ?」

という翔の声が聞こえたすぐ後に、

「そこ!」

と、女性が言った。私と話している途中で、私が話しているときに…。

「え?」

と、私が女性を見て言うと、車内のアナウンスが

「次は〜、〇〇〜。次は〜〇〇〜。お降りの方は右側のドアをご利用ください。」

と、流れた。私は、「あ!降りる駅の話だ!」と思い、

「よく、分かりましたわね!私達が降りる駅…。」

と女性に聞いた。


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