小中大テキストサイズ

兄妹は他人のはじまり

第1章 同居

妹と両親は、寿司とオードブルをつまみながら、ビールを飲み楽しそうに会話をした。

昔の話から始まり、妹の辞めた職場の愚痴、それから向こうで入っていた地域のバレークラブの話…。とにかく妹が話をし両親が聞くという展開の会話が多く、みんな楽しそうだった。僕も、妹の話を面白く聞いていた。

それにしても、何度も思うが、両親はこの妹の変わりように何とも思わないのだろうか?

妹が実家に住んでいた高校時代は、相当キツイ感じだった。事あるごとに強い口調で両親に文句を言い、僕も同じように言われていた。とにかく頭がキレ、論理的な話し方で僕らで敵うはずもなかった。

それが、今は、笑顔を絶やさず口調も柔らかく、色気さえ感じさせる雰囲気を漂わせているのに、両親は妹が以前からこういうタイプの女だったみたいな、何の違和感もなく普通に会話をしている。

まー、地方都市から都会に行けば人は変わるのかもしれない。

僕も、ビールを飲み寿司を摘んだ。

一通り話をし、一旦会話が途切れると、妹は、

「お兄ちゃんは彼女できたの?」

と言った。母親も、

「いるの?良い人がいれば良いんだけど…。」

と言った。僕は、

「いないよ!」

と言うと、妹は、

「お兄ちゃん、モテそうなのにね〜!」

と言った。

僕は、

「今までモテたことないけどね!」

と言うと、妹は、

「ふ〜ん!」

と言い、続けて、

「彩なんか、美穂のお兄ちゃんカッコいいって言ってたけどな〜!」

と言った。彩とは妹の当時の友達で、美穂とは妹の名前である。

僕が、

「え?そんなこと言ってたの?」

と話に食いついたので、妹は、

「彩はもう東京に行ってるからね!無理だから…。」

と以前を思わせるシャープな口調で言った。僕は、

「そんなの分かってるよ!」

とふてくされた態度で言うと、妹は、

「やだ!も〜、お兄ちゃん怒ったの!お兄ちゃん、イカ好きだよね!食べて、食べて!」

と笑顔で言い、イカの握りを2つお皿に取ってよこしたあと、冷蔵庫に行くとビールを3本持って来てテーブルに置き、僕に1本よこした!

僕は、帰ってきたばかりだからかもしれないけど、妹は穏やかになったな〜と思った。







ストーリーメニュー

TOPTOPへ