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Lovers Game 〜光と影〜

第9章 悪魔の心

『ぅ・・・・』


廉が目を覚ますと
薄暗くて埃くさい…倉庫のような場所で

土ぼこりの舞うような冷たい地面に寝かされていた



『・・・』 〃寒い・・・〃


ブルルっと…身震いして意識が鮮明になっていく


『・・・・』 …〃動けない〃



両手脚はきつく縛られていて体を起こせず
口はテープで閉じられたまま声をだせずに
廉は段々と記憶を辿っておぞましい現実を感じていた



『…気が付いた?』



『う…っ・・?!』


声の主は、間違えなく自分を連れ去った男たち



ビクッ…

倉庫に不気味に響き渡る知らない声に
廉が体を震わせる



『ん…んぐ…・・っ』



グィっ…



男は煤や砂の舞う床に横たわる廉の髪の毛を
躊躇う事もなく乱暴に掴み上げて
無理矢理起こすと柱に寄りかからせた



『・・・手荒な真似をしてすまないねお嬢サン』



『…っ・・ん…んん』



『…フフ・・・・叫ぶんじゃないぞ』



ベリ…っ…


男は廉をじっと見下ろして不気味に笑い
廉の口からテープを剥ぎ取った



『っう…・・・・ケホッ…ケホッ…ごほっ』


突然走った痛みに顔を歪めた廉は

喉が張り付くように渇いていて
結局声を出す事が出来なかった


『・・…飲め』


男がペットボトルの水にストローを差して
廉の口に近づけてきた


『・・・〜〜』


『安心しろ、何も入ってない。ただの水だ』


躊躇う廉にそう告げると男が廉に強引にストローを咥えさせた

コク…ゴクン…ゴク

喉の渇きに耐えきれず
廉は少しずつ水を飲み込んでいく


『お前は…大事な〃交渉ツール〃だ…
獲物が釣れるまでは丁重に扱うから安心して』


ブル…っ


冷徹…不気味な目の奥の鋭いなにかと不気味な笑みに




〃【世の中には本当に❝心の底からの悪人❞もいることを忘れんな】〃



廉の脳裏に言葉が響いた


『…っ・・ぅ』





誰が・・言ったんだっけ


だからって・・・・どうしたら良いんだっけ



廉は冷たい床で、置かれた状況に、孤独と恐怖に
目の奥がじんわりとするのを必死に堪えていた

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