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Kalraの怪談

第31章 三十一夜目:自殺の名所

【自殺の名所】

4月のある日、俺は、友人カップルと一緒にM県にあるL岬というところに行くことになった。L岬はその下に流れる海流が早く、落ちたら絶対に死体が上がらないと言われている、近辺でも有名な自殺の名所だった。

なんで、俺がそんな物騒なところに、友人カップルと行くことになったのかというと、そもそもは、先日、Aとその恋人のB子、そして友人のC、俺と4人で飲んでいた時に、俺が話した怪談がきっかけだった。

その怪談は、L岬に特に関係しているものではなかったのだが、その話を皮切りに怪談話が始まり、Cが「そういえば」とL岬の話をしたのだ。L岬はここからもそう遠くない、みんなも酔っていて、面白そうだということになり、『今度の土曜の夜に行ってみよう』ということになってしまったのだ。

しかし、実際、L岬の話を持ち出したCは都合が悪いからと来ず、結局、俺がカップル二人を後ろに乗せて何故か運転手としてL岬に行くことになった。

そんなに遠くないとはいえ、L岬までは車でなんだかんだで1時間半はかかるし、何故に俺がカップルの運転手をしなければいけないのだという怒りもあったが、話の流れ上、断るに断れなくなったという次第だった。

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