
Kalraの怪談
第37章 三十七夜目:人形
最初に相談に来たときも、二度目、三度目に来たときも、Fは一人で来た。
話の中にも彼女の話は一切出てこなかった。
警らしていた警察官にFが挨拶するときもいつも一人だったし、気になって何度かKさんがFの部屋の前まで言ったときも、Fの部屋にはF一人しかいる気配がなかった。
「それに、Fが見た夢、ってやつ。それは、Fにそっくりな人形を大事そうに抱きかかえてこっちを見ている女性の夢だったそうだが、その女性の特徴が、どうも、あの『彼女』に似ているんだよな」
Kさんが言うには、Fの母親がKさんと話しているときも、彼女はFさんの肩や頭を撫でたり、腕をさすったりしていたそうだ。その時の表情はなんともうっとりとした様子だったという。
「何より、署から出ていく、別れ際、Fの母親が一回振り返ったんだ。そのとき、ちょっと遅れて彼女も振り返った」
その顔が、なんとも凄絶な笑みだったという。
「Kと俺は、『あいつがホシだ』と直感したんだ。
もちろん証拠はない。だから何もできない。
でも、ああ、全てがあいつの思うようになったんだ、って
そう思ったんだよな」
あれが呪いってやつだったのかな・・・
Aさんは誰に言うともなく、ひとりごちした。
その後、Fさんとその『彼女』がどうなったのか、さすがにそこまではわからないという。
話の中にも彼女の話は一切出てこなかった。
警らしていた警察官にFが挨拶するときもいつも一人だったし、気になって何度かKさんがFの部屋の前まで言ったときも、Fの部屋にはF一人しかいる気配がなかった。
「それに、Fが見た夢、ってやつ。それは、Fにそっくりな人形を大事そうに抱きかかえてこっちを見ている女性の夢だったそうだが、その女性の特徴が、どうも、あの『彼女』に似ているんだよな」
Kさんが言うには、Fの母親がKさんと話しているときも、彼女はFさんの肩や頭を撫でたり、腕をさすったりしていたそうだ。その時の表情はなんともうっとりとした様子だったという。
「何より、署から出ていく、別れ際、Fの母親が一回振り返ったんだ。そのとき、ちょっと遅れて彼女も振り返った」
その顔が、なんとも凄絶な笑みだったという。
「Kと俺は、『あいつがホシだ』と直感したんだ。
もちろん証拠はない。だから何もできない。
でも、ああ、全てがあいつの思うようになったんだ、って
そう思ったんだよな」
あれが呪いってやつだったのかな・・・
Aさんは誰に言うともなく、ひとりごちした。
その後、Fさんとその『彼女』がどうなったのか、さすがにそこまではわからないという。
