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Kalraの怪談

第38章 三十八夜目:死神

☆☆☆
コロナウイルスの影響でD子の会社でも出勤抑制がかかり、オンラインで打ち合わせや会議をするようになった。
数日前、先輩の男子社員Gとオンライン打合せをした。同じ部署の先輩とはいえ、自分の家を見られるのはいやだったので、D子は仮想背景を使っていたが、先輩はあまり気にしない人のようで、ワンルームマンションと思われる自室を堂々と写して打ち合わせに臨んでいた。先輩はまだ未婚で、一人暮らしだったが、部屋は(少なくとも見える範囲は)きれいに整頓されており、好感が持てた。

打合せ自体はどうということがないものだったが、先輩から言い渡された仕事の一つをメモしそびれてしまったD子は、オンライン会議システムによって録画してあった打合せのビデオ画像を再生していた。短い打合せだったので、すぐに先輩から言われたことをメモに取ることができた。
ビデオを止めようとした時、ふと、先輩の後ろに写っている鏡の中で何かが動くような気がした。

ビデオを止めて、少し戻す。再生
やはり、鏡の中で何かが動いていた。
今度はその鏡の部分だけを拡大して、再生
そこで、D子は息を呑んだ。

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