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Kalraの怪談

第51章 五十一夜目:やどうかい

☆☆☆
これが私が体験したことです。
あのときの鳥居は、祖母が話してくれた『やどうかい』なのでしょうか?
後で知ったことですが、『やどうかい』とは漢字では夜の道の怪、『夜道怪』と書くそうです。夜道で子どもを攫う怪異です。多くは子どもを早く帰らせるための便法なのでしょう。
でも、私は確かに体験しました。
あの鳥居と、そこに消える姉の姿は、今でもはっきり覚えています。

実は、今でもたまにですが、夕暮れ時、街を歩いていると、曲がり角をふと、10歳くらいの子どもが曲がっていく姿を見ます。
後ろ姿だけなのですが、それがどうにも、あの日の姉に見えるのです。
あれから、20年近く経っているのに、姉は当時の姿のままです。

調子の悪いときにはふらりとついて行きそうになります。

姉が、私を呼んでいるのでしょうか。
あの、鳥居の道に…

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