
Kalraの怪談
第19章 十九夜目:振り向くな
☆☆☆
その友人の友人というのは男性です。ここではAさんとしておきます。
Aさんは高校のときに部活でサッカーをやっていたそうです。その高校のサッカー部は結構強かったらしく、夏には欠かさず合宿をしていたようです。それもいつも同じ場所でした。
そこはいかにも高校の部活の合宿で使いそうな、だだっ広い座敷の雑魚寝部屋と簡素な食事を出す食堂、広いグラウンドを備えたところで、『K合宿所』というところでした。
K合宿所には、10年位前に新館ができて以来、全く使わなくなってしまった『旧館』という建物がありました。
その旧館、建物自体は木造の2階建てでした。放置されていたせいか、壁面はすっかり蔦で覆われ、ガラスも所々破れていました。崩落の危険があるとやらで、『中は立入禁止』と、K合宿所の人からは厳しく言われていたそうです。
恐ろしい出来事が起こったのは、Aさんが3年生の最後の合宿のときでした。
Aさんたちは例年通り、K合宿所に来て、きつい練習をしていました。特に3年生は伝統的にこの合宿で引退をすることになっていたので、感慨も一入だったそうです。
その年の3年生は8人いました。Aさんを含めた8人は結構仲がよく、合宿二日目の夜も、練習がきつく疲れているにも関わらず、夜遅くまで話し込んでいたそうです。
そのうち、一人が怪談を話し始めました。しかもK合宿所の旧館にまつわる話です。
それは、何年か前に旧館に肝試しに行ったサッカー部員が、途中で携帯電話から電話をしてきたが、そこで断末魔の叫びを残したままで帰ってこないで行方不明になってしまった、というような話だったそうです。
その話をきっかけに、何人かが自分の知っている怪談を披露しはじめました。
そして、怪談話がすっかり盛り上がってしまい、「俺たちも肝試しをしよう」ということになったそうです。
とはいえ、先生が見回りに来ることもあるので、8人のうち、4人は部屋で待機をし、4人が旧館に向かうということになりました。旧館は彼らが宿泊していた部屋からちょうど真正面に見えるところにあったので、都合が良かったのです。
その友人の友人というのは男性です。ここではAさんとしておきます。
Aさんは高校のときに部活でサッカーをやっていたそうです。その高校のサッカー部は結構強かったらしく、夏には欠かさず合宿をしていたようです。それもいつも同じ場所でした。
そこはいかにも高校の部活の合宿で使いそうな、だだっ広い座敷の雑魚寝部屋と簡素な食事を出す食堂、広いグラウンドを備えたところで、『K合宿所』というところでした。
K合宿所には、10年位前に新館ができて以来、全く使わなくなってしまった『旧館』という建物がありました。
その旧館、建物自体は木造の2階建てでした。放置されていたせいか、壁面はすっかり蔦で覆われ、ガラスも所々破れていました。崩落の危険があるとやらで、『中は立入禁止』と、K合宿所の人からは厳しく言われていたそうです。
恐ろしい出来事が起こったのは、Aさんが3年生の最後の合宿のときでした。
Aさんたちは例年通り、K合宿所に来て、きつい練習をしていました。特に3年生は伝統的にこの合宿で引退をすることになっていたので、感慨も一入だったそうです。
その年の3年生は8人いました。Aさんを含めた8人は結構仲がよく、合宿二日目の夜も、練習がきつく疲れているにも関わらず、夜遅くまで話し込んでいたそうです。
そのうち、一人が怪談を話し始めました。しかもK合宿所の旧館にまつわる話です。
それは、何年か前に旧館に肝試しに行ったサッカー部員が、途中で携帯電話から電話をしてきたが、そこで断末魔の叫びを残したままで帰ってこないで行方不明になってしまった、というような話だったそうです。
その話をきっかけに、何人かが自分の知っている怪談を披露しはじめました。
そして、怪談話がすっかり盛り上がってしまい、「俺たちも肝試しをしよう」ということになったそうです。
とはいえ、先生が見回りに来ることもあるので、8人のうち、4人は部屋で待機をし、4人が旧館に向かうということになりました。旧館は彼らが宿泊していた部屋からちょうど真正面に見えるところにあったので、都合が良かったのです。
